お盆の海には、ご先祖様が帰ってくる?「海に入ってはいけない」の本当の理由と、この時期だけの素敵な過ごし方。
Aloha!海を愛するライターのAikoです。
燦々と輝いていた真夏の太陽が、ほんの少しだけ優しく感じられるようになる8月のお盆の季節。なんだか空気が少し澄んで、海の色も深く、どこか神秘的に見えるのは私だけでしょうか。
子供の頃、おばあちゃんに「お盆の間は、海に入るんじゃないよ。ご先祖様が帰ってくる時期だから、足を引っ張られちゃうよ」なんて、少し怖くて、でも真剣な顔で言われた記憶があります。
きっと、皆さんも一度はそんな話を聞いたことがあるかもしれませんね。
迷信だと分かっていても、なんとなくこの時期の海には特別な敬意を払いたくなるもの。今回は、この古くからの言い伝えに込められた意味と、実はとても理にかなっている「本当の理由」、そして、泳ぐだけが魅力じゃない「お盆時期の海の素敵な楽しみ方」をご紹介します。
なぜ?「お盆に海に入ってはいけない」と言われる理由
この言い伝えには、大きく分けて「スピリチュアルな理由」と「科学的・現実的な理由」の2つがあるようです。どちらも、昔の人の知恵と自然への敬意に満ちていて、知れば知るほど「なるほど」と思わされます。
1. スピリチュアルな理由:ご先祖様への敬意
お盆は、ご先祖様の霊が「あの世」から「この世」へ帰ってくる期間とされています。そして、海や川などの水辺は、その霊たちが行き来する「通り道」だと考えられてきました。
つまり、「海に入ってはいけない」というのは、「大切なご先祖様が通る道を邪魔しないように」という、日本人ならではの奥ゆかしい配慮や敬意の表れだったのですね。「足を引っ張られる」という少し怖い表現も、裏を返せば「神聖な場所だから、無闇に入ってはいけないよ」という、子供にも分かりやすく伝えるための戒めだったのかもしれません。
そう考えると、この時期の海が少し神秘的に見えるのも納得がいく気がします。
2. 現実的な理由:夏の終わりの海に潜む危険
言い伝えには、実はとても科学的な根拠も隠されています。お盆を過ぎた夏の終わりの海は、きらびやかなハイシーズンとは少し違い、注意すべき危険が増える時期なのです。

- 危険①:クラゲの発生 お盆を過ぎると、アンドンクラゲ(行灯水母)をはじめとする、毒性の強いクラゲが急激に増え始めます。半透明で水中では見えにくく、長い触手に触れると電気ショックのような激しい痛みを感じることも。楽しい海水浴が一転、大変なことになりかねません。
- 危険②:土用波(どようなみ)と離岸流(りがんりゅう) この時期は、台風が日本の南で発生しやすくなります。たとえ陸地が晴れていても、遠くの台風の影響で、突然大きなうねり「土用波」が岸に打ち寄せることがあります。一見穏やかに見えても、沖へ向かう強い潮の流れ「離岸流」が発生しやすく、知らず知らずのうちに沖へ流されてしまう危険性が高まります。
ご先祖様からの「危ないから、入ってはいけないよ」という、優しい忠告だったのかもしれませんね。
Aikoおすすめ!お盆時期の海の楽しみ方
では、この時期は海に近づかない方がいいのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。泳ぐことは控えても、この時期だからこそできる、心穏やかな海の楽しみ方があるんです。
1. 静寂のなかで、夕日・朝日を眺める
多くの人が海から遠ざかるこの時期は、ビーチがとても静かになります。人影のまばらな浜辺で、水平線に沈む夕日や、昇る朝日をゆっくりと眺める時間は、何物にも代えがたい贅沢です。変わりゆく空の色と、寄せては返す波の音に耳を澄ませば、日々の喧騒を忘れて、心からリラックスできますよ。
2. 自分と向き合う、ビーチヨガや瞑想
神聖な空気が流れるお盆の時期は、自分自身と向き合うのにも最適なタイミング。波の音をBGMに、ビーチでヨガや瞑想をするのはいかがでしょうか。深く呼吸をしながら、自然と一体になる感覚は、心と体をすっきりと浄化してくれます。ご先祖様に思いを馳せながら行うと、より特別な時間になるかもしれません。

3. 海の見えるカフェで、ゆったり過ごす
「それでもやっぱり、海の近くで過ごしたい!」という方は、海の見えるカフェの特等席でのんびり過ごすのがおすすめです。安全な場所から、少し荒々しさを見せる夏の終わりの海を眺めるのも、また一興。美味しいコーヒーを片手に読書をしたり、物思いにふけったり…。豊かな時間を過ごせます。
4. 敬意を込めて、静かなビーチコーミング
ご先祖様の通り道である浜辺を、感謝の気持ちを込めて綺麗にするようなイメージで、静かにビーチコーミングをするのも素敵です。波が運んできた美しい貝殻やシーグラスは、まるでご先祖様からの贈り物のよう。一つ一つを大切に拾い集める時間は、心を落ち着かせてくれます。

まとめ
「お盆の海に入ってはいけない」という言い伝え。 それは、ご先祖様を敬う日本の美しい心と、私たちを危険から守るための古人の確かな知恵が合わさった、奥深いメッセージでした。
この時期は、海に飛び込んでアクティブに遊ぶのではなく、少し距離を置いて、その景色や音、香りを五感で味わう。そんな風に海と向き合ってみると、いつもとは違う、海の新たな魅力に気づけるはずです。
今年の夏も、安全に、そして心豊かに、海との素敵な時間をお過ごしください。
皆さんの地域には、お盆に関する特別な風習や言い伝えはありますか?もしあれば、ぜひ教えてくださいね。